仕事場があった本厚木、懐かしい街からの誘い
仕事場が本厚木にあったのは、もうずいぶん前のことだ。
そんな懐かしい街に、先輩から「久しぶりにどうだ?」と声がかかる。これは断る理由がない。
今日は早めに仕事を片付けて、あの頃の味に会いに行く…はずだった。
こんな日に限って起こる、仕事の波乱
けれど、こういう日に限って、仕事は波乱を起こす。
急なトラブルで足止めを食らい、「またか」と天を仰いだが、思いのほかスムーズに解決して、なんとか40分遅れで現地に滑り込んだ。
若き日の原点、「曽根屋」へ
向かったのは、「曽根屋」。若いころ、初めて本当に美味しい日本酒を知った場所だ。
地酒が今ほど出回っていなかった時代に、八海山の純米吟醸を手頃な値段で飲ませてくれた店。
あの一杯がなかったら、今の自分は日本酒をこんなに好きになっていなかったかもしれない。
変わらぬ味と香りに、心ほぐれる
店に着くと、先輩たちはすでにいい感じに出来上がっていた。
変わらぬ備長炭の香ばしい香りのなかで、焼き鳥、鮎の塩焼き、もつ煮…と、懐かしい味が次々と並ぶ。
味も雰囲気も、何一つ変わっていないことに、少し安心する。
壁にはびっしりと銘柄が書かれていて、日本酒好きにはたまらない景色だ。
今日は一升瓶で3本、八海山、而今、飛露喜。どれも格別だったけれど、やはり一番沁みたのは、あの一本。
今日の一杯:八海山 純米大吟醸(はっかいさん じゅんまいだいぎんじょう)

この夜の主役は、やはり思い出深い八海山だった。
いつもなら純米吟醸を頼むところだが、あいにくこの日は在庫がなく、純米大吟醸を選ぶことにした。
控えめながらも上品に香る吟醸香と、すっとキレる味わいは、昔よりも日本酒をじっくり味わえる大人になった自分にぴったりだった。
口に含むたびに、あの新潟まで買いに行った旅の記憶がふと蘇り、懐かしさとともに今も変わらぬ美味しさを感じた。
おじ散歩の豆知識:八海山 純米大吟醸
新潟・南魚沼の八海醸造がつくる「八海山 純米大吟醸」は、雪どけ水のように澄んだ味わいが魅力の一本。
口に含むと、やわらかな旨みと上品な吟醸香がふわりと広がり、すっと消える後口がなんとも心地よい。
仕込み水は名水「雷電様の清水」、米は山田錦などを45%まで丁寧に磨き上げて使用。
冷やして飲めば、料理の味を引き立てる食中酒として真価を発揮する。
派手さはないけれど、静かに寄り添う美しさがある。そんな八海山らしい、端正な一本。
飲みすぎた夜と、懐かしい朝
久しぶりに先輩とじっくり語り合い、すっかり充実した夜に。
話が盛り上がりすぎて調子に乗って飲みすぎたらしく、帰り道の記憶はまるで霧の中。
気づけば掛け布団の上に靴下をきちんと置いて寝ていたという、謎の几帳面さも発揮。
若かりし頃の無茶ぶりを思い出しながら、軽い二日酔いで迎えた朝だった。
🍶 おじ散歩 日本酒メモ
- 八海山 純米大吟醸(新潟)
八海山 純米大吟醸は、八海醸造が手掛ける高精白の純米大吟醸であり、淡麗辛口の酒質が特徴である。冷やしても燗にしても楽しめるため、食中酒として幅広い料理と合わせやすい。とりわけ、寿司や刺身、天ぷらなどの和食との相性が良いとされている。
👉 八海山 公式サイト
訪れたお店:曽根屋(場所:本厚木)
本厚木にある「曽根屋」は、落ち着いた雰囲気で地元に愛される老舗の居酒屋。
備長炭で焼く焼き鳥や魚、もつ煮などの定番料理に、豊富な日本酒がよく合う。
気取らずに本格的な味を楽しめる、地酒好きにも人気の一軒。
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