
朝の静岡路へ、遠足気分で
朝の5時半。少し重たいまぶたと、ちょっとした遠足気分を抱えて、静岡へと向かった。目的地は、由比(ゆい)の桜えび祭り。あいにくの空模様だったが、天気予報通りの雨に少し安心しつつ、傘をカバンに入れて出発した。
三島駅で友人と合流し、東海道線で由比へ。電車に揺られているうちに、雨はいつのまにか止んでいた。由比駅に降り立つと、空気が少し澄んでいて、どこか懐かしい匂いがした。
7年ぶりの再訪、街の記憶
実はこの祭り、7年ぶりの再訪だ。あのときはまだ交通系ICカードの融通も効かず、現金で清算したのを覚えている。でも今回は、Suicaでスムーズに改札を抜けられて、ちょっとした進歩を感じた。
駅前のアーケードは相変わらずエビの装飾でにぎやかで、時が止まっていたかのような街並みが嬉しかった。

人の波と、海の香りと
朝の8時前に着いたのに、すでに駅周辺は人であふれていた。聞けば、今年の桜えび祭りには約5万人が来場したらしい。港に出ると、海の向こうに停泊した漁船が並び、だんだんと日差しも顔を出し始めていた。
うん、これはもう、最高の一日になりそうな予感。
港でひらく、小さな宴
会場の端っこの漁港エリアにビニールシートを敷いて、みんなでささやかな宴を始める。私はというと、持参したダイソーの折りたたみ椅子を広げて、どっしり腰を据える。これが、地味に大活躍。やっぱりおじさんには、こういうギアが必要だ。
桜えびの天ぷら、さつま揚げ、クリームコロッケをつまみに、ビールと日本酒がどんどん進む。中でも、地元・由比の銘酒「英君」と「正雪」はやっぱり別格だった。

今日の一杯:英君 夏の白菊
この日いちばん心に残ったのは、やっぱりこの一杯。

英君 純米吟醸 夏の白菊(えいくん・なつのしらぎく)。
涼しげな香りと、爽やかな酸味。暑さの中に清涼感がスッと入り込んできて、「ああ、夏に飲むために造られた酒だな」と思った。英君はもともと好きな酒だけど、これはまた別格だった。
🍶 おじ散歩・豆知識
英君「夏の白菊」は、復刻酒米「白菊」と白麹を使った、夏限定の純米吟醸である。
静岡酵母CA-50で仕込まれたアルコール度数13%の原酒には、爽やかな酸味がやさしくきらめく。
甘酸っぱく、すっきりとした飲み口は、まさに“夏の恋”を思わせるような一杯である。
帰り道に思うこと
夜になって家に帰りついたときには、体力の限界が近づいていた。翌日は、まるで山を登った翌日みたいな疲れが押し寄せ、仕事に身が入らなかったのは言うまでもない。
けれど、手に入れた生桜えびと静岡おでんを家でじっくり味わいながら、また来年もこの港町に来よう、と静かに思った。
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