夏の終わり、静岡へ
少しずつ空気がやわらぎ、ようやく秋の気配を感じるようになってきた。
夏の名残が過ぎ去り、涼しい風が心地よい季節だ。
そんな折、萩錦酒造の蔵で行われるBBQに誘われ、静岡へ足を運ぶことになった。
静岡への小さな旅
久しぶりに乗った新幹線に揺られ、静岡駅に到着。
空はよく晴れ渡り、まさにBBQ日和だった。
萩錦酒造は、駅からバスでおよそ二十分ほどの場所にある。
歴史ある小さな蔵
バスを降りると、周囲は静かな住宅街。
本当に蔵があるのだろうかと思って歩くと、ほどなくして立派な門構えの「萩錦酒造」が現れた。


創業は明治九年、約百五十年の歴史を持つ小さな家族経営の蔵だ。
敷地内には湧き水があり、口に含むと驚くほど澄んだ味わい。
この水から、あのやさしい日本酒が生まれているのだと思うと胸が高鳴った。

蔵見学の代わりに
まだ酒造りが始まっていなかったので、残念ながら蔵の中を見ることはできなかった。
その代わり、蔵のオリジナルグッズを眺めたり、展示されているお酒を見て回ったりと、ゆったりとした時間を過ごした。
また、蔵のTシャツをひとつ購入して、旅の記念に加えた。

蔵で味わうBBQ
やがてBBQが始まり、香ばしい匂いがあたりに広がった。
料理は、鳥みきさんが忙しい中、心を込めて準備してくださったものばかり。
肉の旨味と日本酒の相性は抜群で、笑顔の絶えないひとときだった。


今日の一杯:萩錦 純米吟醸 生原酒 令和誉富士

どれも美味しいお酒ばかりだったが、あえて今日の一杯を選ぶとすれば「萩錦 純米吟醸 生原酒 令和誉富士」だ。
蔵の方によると、これまで誉富士で醸してきてノウハウが少しずつ分かってきたところで、改良品種の令和誉富士に変わり、また新たに挑戦が始まったという。
爽やかな香りとやわらかな旨味が広がり、これからの仕込みにも期待が膨らむ一本だった。
豆知識:萩錦 純米吟醸 生原酒 令和誉富士
米・麹ともに令和誉富士を100%使用し、精米歩合は60%。アルコール度数は約17度。
静岡酵母(NEW-5)を使い、安倍川の伏流水で仕込まれた無濾過生原酒。
フレッシュな口あたりと、メロンやバナナを思わせる穏やかな香りが印象的。
冷やまたは常温で、軽快な甘みとやさしいキレを楽しめる。
海のそばの締めくくり
萩錦酒造は海のほど近くにあり、BBQのあと、夕暮れの海岸まで足を伸ばした。
潮風が心地よく、波の音を聞いていると、子どもの頃の夏を思い出した。
心が洗われるような時間で、静岡の空に沈む夕日を眺めながら、この一日の余韻に浸った。

訪れた酒蔵:萩錦酒造(場所:静岡)
萩錦酒造は、明治9年(1876年)創業の静岡県静岡市にある家族経営の小さな酒蔵で、海の近くに立地している。
安倍川流域の極上の軟水を仕込み水とし、主張を抑えつつ料理に寄り添う「静岡型吟醸」の酒造りを旨とする。
現在は萩原家が3名で蔵を守り、丁寧な少量生産で地域に根ざした酒を醸している。
以前萩錦のイベントに行った時の様子もあわせてどうぞ。こちらもまた違った魅力にあふれています。
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